招客招福の法則

kaunet2007-10-24



 町の写真館がポップコーンを売っていたとして、あなたはわざわざ買いに行くだろうか?普通はスーパーやコンビニで買うものだろう。ところがある写真館は、なんと予約だけで200個以上も売った。買った人たちはこの店の顧客だ。店主は普段から彼らに送っているDMを通じてポップコーンを予約販売したのだった。
 セールスレターの作り方は巧みだった。店主が特に気をつけたのは「なぜ写真館がこのポップコーンをあなたに食べてほしいのか」を語ること。これは大切なポイントだ。ここでのメッセージはそれが主であるべきで、商品の説明ではないのである。
 もっとも、彼がポップコーンを売ったのは儲ける為ではない。目的の一つは写真館に足を運んでもらうことだ。家庭で簡単に写真が撮れる今日では、普段写真館に気軽に足を運ぶ人は少ない。しかし来店して対話の機会があれば、写真の話題にもなり、じゃ今年の年賀状の家族写真を撮ってもらおうかという流れにもなる。
 店主はそのために、買った人には取りにきてもらう形にした。写真を撮るつもりがない人も、予約した商品の受け取りなら気軽に来店できる。ポップコーンによって顧客との接触機会をつくったのだ。
 もう一つの目的は、顧客に楽しんでもらうためだ。店主は、この店と付き合っていると何か楽しいことがあると、いつも感じて欲しいと考えている。そうして関係が続くことで、写真をアピールする機会もまた作れるのである。
 彼は期待を上回る注文があまりにも嬉しく、スタジオにポップコーンを並べて撮影したそうだ。流石写真のプロといったところだが、仕入れた商品が届いて写真を撮りたくなるくらいうれしいとは、これまた商売冥利につきることである。(33168)

          日経流通10/24より