チーム日光

泥出しボランティアに34人 「チーム日光」始動
2011年4月13日


家屋の梁(はり)や天井にも泥の跡が残る中、作業を続けるボランティア=8日、宮城県石巻市(メンバーの小平清崇さん撮影)

 日光市の市民団体「日光森と水の会」が呼びかけた宮城県石巻市へのボランティア活動が8日から2泊3日で行われた。県内外から34人が参加、津波被害を受けた民家の泥出しなどの作業に専念した。道具も食料も水も、往復の燃料も自前で調達する長駆のボランティア。今後も息の長い支援を続けようと、新たにボランティア団体「チーム日光」が設立されるなど、支援の輪も広がっている。

 一行は8日午前6時に日光を出発。兵庫県からの参加を含めた15歳から71歳の計34人が、市内の観光業者から提供を受けたマイクロバスや4トンダンプカーなど車4台に分乗して現地に向かった。車両にはバケツやスコップ、デッキブラシ、一輪の手押し車のほか、自炊用の食料、飲料や清掃用として水800リットルを積み込んだ。

 7日深夜に大震災後最大規模の余震があり宮城で震度6強を観測、新たに橋や道路が封鎖され、石巻到着は8日正午過ぎ。迂回(うかい)を続ける中、津波になぎ倒された市街地の光景を目の当たりにし、一行は一様に無口に。川沿いでバケツにひもを付けて水をくむお年寄りの女性を見かけ、誰が言うともなく停車して手伝った。ダンプカーに書き込んだ「がんばれ東北」の寄せ書きを拝む女性の姿が目に焼き付いた。メンバーのひとり山本雄一郎さん(60)は「小さなきっかけで、人はつながっていけると実感した。かえってこちらに元気をもらった」と振り返る。

 初日の泥出しは、3月末に同会代表の小坂憲正さん(42)が見舞い先で偶然知り合った民家。あらかじめ作業日を伝えたため、3人住まいの民家では泥の中から、捨てては困る品々を取り出してあった。「泥につかったとはいえ、家の中は思い出が詰まっている。よそから来たボランティアには泥まみれの欠けた茶わんでも、家人には宝物」と小坂さんは思い知る。

 石巻ではタンカーから漏れた重油も流れ込み、民家には泥と油が混じり合ってヘドロ状に堆積(たいせき)していた。一行は約100平方メートルを半日かけて清掃した。

 宿泊は石巻専修大のキャンパスにテントを張って過ごした。このテントが今後の活動の拠点となる。

 9日は3班に分かれて同市内で民家の泥出し作業。山本さんは、その間に日光に戻り、復路の車の燃料を積み込んで舞い戻った。10日、一行は日光に帰着、借りた車などを丹念に洗って提供者に返した。

 同会など4団体はこうした短期自炊型のボランティアを長期にわたって続けるため、新たに「チーム日光」を結成した。今後も遠征用のマイクロバスの提供元などを探している。問い合わせは、チーム日光(0288・50・1066)。ブログ「チーム日光のキセキ」は(http://ameblo.jp/fifasannsou/)。

    ◇

 日光市災害ボランティアセンターは13日と16日に、同市と交流のある福島県相馬市に日帰りのボランティアを派遣する。津波被害のあった民家の泥出しや、家具・家財の泥落とし作業を行う。両日の参加は同センターのボランティア登録者約300人から募った。派遣は今後も継続予定。問い合わせは同センター(0288・21・2759)。

(服部肇)